栗山ジャパンがいよいよ始動 “世界一奪還”に向けた初陣は3月の台湾戦

2022.1.10

2022年、栗山英樹新監督を迎えた野球日本代表「侍ジャパン」トップチームは、2023年3月に開催予定の「第5回ワールド・ベースボール・クラシック™」(以下WBC)での世界一奪還という目標に向かって動き始める。

写真提供=Full-Count

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稲葉前監督から引き継いだ栗山監督に与えられた大きな使命

 2022年、栗山英樹新監督を迎えた野球日本代表「侍ジャパン」トップチームは、2023年3月に開催予定の「第5回ワールド・ベースボール・クラシック™」(以下WBC)での世界一奪還という目標に向かって動き始める。

 昨年12月2日に稲葉篤紀前監督の後を継ぎ、侍ジャパンの指揮官となった栗山監督は、都内で行われた就任会見で「日の丸をつける意味、重さ、責任。そういったものを心の底から感じています」と覚悟を漂わせた。

 侍ジャパンは2021年夏、稲葉前監督の下で悲願の金メダル獲得という目標を達成。大仕事を果たした今、栗山監督にとって最大の使命となるのが、WBCで再び世界の頂点に返り咲くことだ。

 日本は第1回大会(2006年)、第2回大会(2009年)と大会連覇に成功したが、第3回大会(2013年)は準決勝でプエルトリコに敗れて3位、第4回大会(2017年)では米国に敗れて3位に終わった。2大会連続で優勝を逃した日本は当初、2021年春に予定されていた第5回大会での世界一奪還を目指し、2019年には「第2回 WBSC プレミア12」で大会初優勝。順調なチーム作りを進めていたが、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、第5回大会の開催が延期されていた。

初陣は3月5、6日の「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2022」

 今回、新たにトップチームを率いる栗山監督は、昨季まで10年間務めた北海道日本ハムの監督職を退いたばかり。侍ジャパンの監督就任は想定外のことだったようで「頭の中真っ白になるというか、想像もしてなかった。びっくりしたというか、思考が一回止まるというかそんな感じでした」と語るが、その手腕は折り紙付きだ。北海道日本ハムでは2012年、2016年にパ・リーグ優勝を果たし、2016年にはチーム10年ぶりとなる日本一も掴んだ。柔軟な思考と、選手と築く信頼関係の深さは広く知られており、現場を離れたばかりで衰えぬ勝負勘も大きなプラスとなるだろう。

 初陣となるのは3月5、6日に東京ドームで行われる「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2022」。ここでチャイニーズ・タイペイを迎え撃つ。2月1日から各地で始まるNPB春季キャンプを視察しながら、“栗山ジャパン”のメンバーを選考していく予定だ。「勝つことしか考えていない」と語る指揮官は、日本球界は「主力が若返ろうとしている時期に見える」とも言及。球界の今を感じ取りながら、若手とベテランのバランスが上手く配分されたチーム作りが予想される。

 第5回WBCに向けては、メジャー球団所属選手の選出が1つのポイントとなりそうだ。ルール上、メジャー選手の参加が可能となれば、昨季はMVP満票選出をはじめ数々のタイトルを手にした“二刀流”大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)、ダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)らのメンバー入りも気になるところ。栗山監督は就任会見で「メジャーを肌で感じている選手の経験は凄く大きい。日本でプレーしている選手が憧れる選手ばかり。そういう選手と一緒にやることにも凄く意義がある」「アメリカの選手だろうと、勝つために必要な選手は呼ぶ」と語るなど、必要とあらば招集に労を厭わない覚悟だ。

首脳陣には海外野球や最新のデータ活用に造詣が深い人物がズラリ

 指揮官が全幅の信頼を置く首脳陣には、ヘッドコーチとしてメジャーでのコーチ経験を持つ白井一幸氏、打撃コーチとして昨季まで読売で1軍作戦コーチを務めた吉村禎章氏、外野守備・走塁コーチとして稲葉前監督の下でも同職を務めた清水雅治氏、投手コーチとしてロッテでピッチングコーディネーターを務める吉井理人氏が選ばれた。いずれも海外野球や最新のデータ活用に造詣が深い人物ばかりで、この人選からも栗山監督の世界一奪還にかける並々ならぬ思いが伺える。

 最大の難関となるのは、WBC本番まで約1年という準備期間の短さだろう。日本はこれまで「侍ジャパン」として代表チームを常設することで、チーム内、世代間、そして日本球界全体での絆を深めてきた。2023年3月に世界のトップに返り咲くためには、これまで深めた絆を活かしながら、日本球界全体として栗山ジャパンをバックアップする体制を築く必要があると言えそうだ。

 2022年元旦には、侍ジャパン公式サイトで新年の挨拶を発表し、「侍ジャパン全員で、侍魂を持って戦ってまいります」と宣言した栗山監督。この1年を通じて、栗山ジャパンがどのように形作られていくのか。その進化の過程を、しっかりと目に焼き付けておこう。

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