「いい仲間に巡り会えた」 東北楽天4年目捕手がU-15代表で得た運命的な縁

2021.4.26

野球日本代表「侍ジャパン」はトップチームをはじめ、社会人、U-23、大学、U-18、U-15、U-12、女子の各カテゴリー代表から構成され、同じユニホームを着用している。若い世代で日の丸を背負い、その後プロ入りを果たした選手も多い。東北楽天で期待の若手、石原彪(つよし)捕手もその1人だ。

写真提供=Full-Count

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「15U アジアチャレンジマッチ2013」での優勝に貢献した石原彪捕手

 野球日本代表「侍ジャパン」はトップチームをはじめ、社会人、U-23、大学、U-18、U-15、U-12、女子の各カテゴリー代表から構成され、同じユニホームを着用している。若い世代で日の丸を背負い、その後プロ入りを果たした選手も多い。東北楽天で期待の若手、石原彪(つよし)捕手もその1人だ。

 石原選手は今年2月、沖縄・金武町で行われた1軍キャンプに参加。同13日の千葉ロッテとの練習試合では左中間三塁打、左越え適時二塁打を放ち、石井一久監督の初采配・初白星に貢献した。大いに存在をアピールしたが、惜しくも開幕1軍を逃し、現在は2軍で爪を研ぐ日々を送っている。

 京都南山城ボーイズに所属していた中学3年時の2013年11月、U-15代表に捕手として選出された。当時のチームメートには、今も東北楽天で同じユニホームを着る藤平尚真投手、千葉ロッテのドラフト1位ルーキーとしてプロ入りした鈴木昭汰投手、北海道日本ハムのドラフト2位・五十幡亮汰外野手らがいた。

U-15代表では藤平、鈴木、五十幡とチームメートとしてプレー

 とりわけ衝撃を受けたのは、バッテリーを組んだ藤平投手の球だった。「真っすぐが物凄く速くて、同じ中学生ではない感じがしましたし、それまでには捕ったことのない球でした。145キロとか出ていたのではないかな」と証言する。一方、鈴木投手は「コントロールが良くて、変化球を交えて緩急をつけていた印象。球速はそこまでではなかったけれど、“強い”真っ直ぐでした」と評する。

 五十幡選手は当時、陸上でも全日本中学校陸上競技選手権大会の100メートルと200メートルで、現100メートル日本記録保持者のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手を抑えて優勝するなど活躍しており、「高校で野球を続けるか、陸上へ行くかで悩んでいました」と振り返る。石原選手自身は当時から強打を誇る巨漢捕手として知られ、「身長は今と同じ172センチ。体重は80キロくらいあったのではないか(現在は96キロ)」と笑う。

 このU-15代表は愛媛県松山市で行われた「15U アジアチャレンジマッチ2013」に出場し、3戦全勝で優勝を果たしている。石原選手は初戦の松山市選抜戦に「4番・捕手」でスタメン出場。ところが、続く韓国戦、チャイニーズ・タイペイ戦は途中出場にとどまった。「実はお腹を壊してしまって……。(大会期間中は)トイレに行っていた思い出しかないです」と苦笑いを浮かべる。

2016年ドラフト8位指名で東北楽天入り、同年の1位指名は…

 その後、藤平投手とは運命的な再会を果たす。高校3年の夏、石原選手は京都翔英高校で「京都のドカベン」の異名をとる高校通算42本塁打の捕手として、藤平投手は名門・横浜高校のエースとして、ともに甲子園に出場。開会式で久しぶりに顔を合わせた。さらに約2か月半後のドラフト会議では、同じ東北楽天から藤平投手が1位、石原選手が8位で指名を受けた。

「寮でドラフトのテレビ中継を見ていて、僕が指名された瞬間、携帯がポケットの中でブーブー鳴るので誰かと思ったら、藤平からでした。こっちも高校のチームメートたちが『ワーッ』と盛り上がったところだったので、後でかけ直しました」と明かす。

U-15代表では「いい仲間に巡り会えた」

 石原選手は昨季、9月2日に1軍昇格すると、主力捕手の故障もあって、パ・リーグ最多勝に輝いた涌井秀章投手から指名され、同30日以降6試合でバッテリーを組み、貴重な経験を積んだ。藤平投手はルーキーイヤーの2017年に1軍で3勝、翌18年に4勝を挙げたが、一昨年は1軍登板3試合、昨季は1試合にとどまった。同年代の選手が大学を経てプロ入りしてきただけに、ともに1軍定着へ待ったなしの年齢を迎えようとしている。

 U-15代表に選出されたことについては「自信とまではいきませんが、数多い選手の中から選ばれ、野球人として評価されたのかなと思いました。今プロに来ている選手もいて、まだまだこれからですけど、いい仲間に巡り会えたと思っています」と感慨深げに語る。

 今、U-15の後輩にエールを送るとすると、どんな言葉をかけるだろうか。そう尋ねると、「最近は野球をやる小中学生が少ないと聞いているので、『一緒に盛り上げていきましょう』ですかね」と屈託のない笑顔で答えた。スケールの大きい打撃を磨き、侍ジャパンのトップチームに呼ばれるくらいの選手に成長してほしい。

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