U-18代表で主将を襲名 福岡ソフトバンク捕手が「1球の重要さ」を学んだ侍ジャパン

2021.3.1

2014年にタイ・バンコクで行われた「第10回 BFA 18Uアジア選手権」。準優勝だったこの大会では、昨季セ・リーグで本塁打と打点の2冠王に輝いた岡本和真内野手(読売)、今季開幕投手に指名された高橋光成投手(埼玉西武)ら、今や日本球界を代表する選手たちが顔を揃えた。この時、世代のトップが集まる侍ジャパンU-18代表の主将を務めたのが、昨季日本シリーズでMVPに輝いた栗原陵矢捕手(福岡ソフトバンク)だった。

写真提供=Full-Count

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甲子園出場は2年春のみの栗原陵矢選手、まさかの代表入りに続く驚きの主将任命

 2014年にタイ・バンコクで行われた「第10回 BFA 18Uアジア選手権」。準優勝だったこの大会では、昨季セ・リーグで本塁打と打点の2冠王に輝いた岡本和真内野手(読売)、今季開幕投手に指名された高橋光成投手(埼玉西武)ら、今や日本球界を代表する選手たちが顔を揃えた。この時、世代のトップが集まる侍ジャパンU-18代表の主将を務めたのが、昨季日本シリーズでMVPに輝いた栗原陵矢捕手(福岡ソフトバンク)だった。

 栗原選手にとって、侍ジャパンに選出されたこと自体が驚き以外の何物でもなかったという。福井・春江工業高校での甲子園出場は、2年春の選抜大会のみ。3年時は甲子園に縁がなく、全国的な知名度も高くはなかった。代表入りの知らせを受けた時は「驚きどころか『俺でいいの? ダメでしょ』と思いました」というほどだった。

 選出されたメンバーで面識があったのは、岡田耕太捕手(敦賀気比高、現・JFE東日本)、飯塚悟史投手(日本文理高、現・横浜DeNA)くらいで、岡本選手や高橋投手ら甲子園を沸かせた面々とは初対面。「すごい選手と一緒で(自分から)話しかけられるのかな」と、不安さえ感じながらチームに参加したことを、今でも覚えている。

 ただ、現在所属する福岡ソフトバンクと同様に、高校時代の栗原選手も自ら“いじられ役”となり、場の雰囲気を和ませることが上手かった。当初の不安をよそにチーム発足時からムードメーカーとなり、ついには主将を任されることになった。

「合宿に行ったら、背番号が『10』で……。初日の練習後にチーム全体で多数決があって、僕が(主将に)選ばれました。正直、めちゃくちゃ嫌でした。『なんで?』と思いました」

日本代表として戦うことで感じた「ワンプレーワンプレーの重み」

 国際大会で主将としてチームを引っ張ることになったが、「実際、何にもしてないですよ」と振り返る。「僕がまとめなくても、自然とチームはまとまっていました。自分のやるべきことが分かっているメンバーたちだったので、特別に何かをしたというのはないと思います」。世代を代表する選手たちは皆、しっかりと“自分”を持っていたため、主将としての苦労はなかった。

 その中でも自身が大事にしたのは「率先して自分がしっかり動くこと」だった。練習に取り組む姿勢をはじめ、荷物運び、片付け、練習や試合中の声出し……。何事に関しても自分が進んで動くことで、自然とチームメートたちがついてきてくれたという。

「しっかり自分がやることをやれば(チームは)ついてくるものだと思いましたし、何かを言ってどうこうするよりも、しっかりプレーや行動で示せるものだと思いました」

 大会では初戦から次々と快勝し、準決勝ではチャイニーズ・タイペイを1点差で破って決勝に駒を進めた。最後は韓国に1点差で敗れて準優勝に終わったものの、選手たちは貴重な国際大会での経験を得ることになった。

「やっぱり日本代表として出る大会は緊張感が違いますし、ワンプレーワンプレーの重みも違いました。その経験から、もっともっとこれからの野球人生でもワンプレーワンプレーを大事にしないといけないな、と感じました。1打席1打席、1球1球への執着心であったり、集中力、そういうものを学びました」

 1つのミス、1つのプレーが試合の流れを左右し、勝敗に直結する国際大会の怖さ。そこで学んだ集中力、執着心の重要性は、プロ野球の世界に飛び込んでからも生かされているという。

当時のチームメートと今でも切磋琢磨 侍ジャパンに「また選ばれてみたいなと思います」

 当時のチームメートとは今でも交流があり、互いを刺激し合う存在だ。球界を代表する強打者となった岡本選手については「和真が頑張っていたら刺激になりますね。当時からやっぱりバッティング練習ひとつとっても凄かった。飛距離も1人だけ違いましたし、のんびりさも凄かったです。『何を考えているんやろ、コイツは』と思っていましたね(笑)」と語る。岡本選手以外のメンバーも「やっぱり気になりますし、(高橋)光成とか小島(和哉・千葉ロッテ)とは対戦する機会が多いので、なんとか打ちたいなと思います」と、現在でも切磋琢磨し合う。

「(代表として)勝った時の喜びはまた違うものがありますし、いろいろな選手と交流できますし、また選ばれてみたいなと思います」

 今季開幕時には、まだ24歳。今後、この世代から侍ジャパンのトップチームで中心となる選手たちが出てくることだろう。昨季ブレークを果たした栗原選手もまた、再び日の丸のユニホームに袖を通す日を夢見て、今日もバットを振り続けている。

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