「責任感」と「気持ちの準備」―甲子園優勝投手が侍ジャパンU-18代表で手にしたもの

2019.12.2

群馬・前橋育英高2年生の時に出場した2013年夏の全国高校野球選手権大会で初出場初優勝を果たし、一躍、甲子園のスターとなった埼玉西武ライオンズの高橋光成投手。全国制覇を果たした後には、台湾・台中で開催された「第26回 IBAF 18Uワールドカップ」の日本代表にも選出され、初めての国際大会を戦った。翌年は甲子園出場を逃したものの、タイ・バンコクでの「第10回 BFA 18Uアジア選手権」の日本代表に選ばれ、チームの準優勝に貢献。慣れない環境の中で戦った2度の日本代表の経験は、プロの世界でも生かされている。

写真提供=Full-Count

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2013年夏に前橋育英高で甲子園を制覇した高橋光成、高校時代に日本代表を2度経験

 群馬・前橋育英高2年生の時に出場した2013年夏の全国高校野球選手権大会で初出場初優勝を果たし、一躍、甲子園のスターとなった埼玉西武ライオンズの高橋光成投手。全国制覇を果たした後には、台湾・台中で開催された「第26回 IBAF 18Uワールドカップ」の日本代表にも選出され、初めての国際大会を戦った。翌年は甲子園出場を逃したものの、タイ・バンコクでの「第10回 BFA 18Uアジア選手権」の日本代表に選ばれ、チームの準優勝に貢献。慣れない環境の中で戦った2度の日本代表の経験は、プロの世界でも生かされている。

 日本が準優勝に輝いた「第26回 IBAF 18Uワールドカップ」が初の代表選出となった高橋投手。甲子園では2年生だったためプレッシャーを感じることはなかったというが、日本代表では日の丸を背負う責任感が生まれたと当時を振り返る。

「甲子園のすぐ後で、見えないところで疲れはあったと思います。海外に行くのも初めてで、国際大会も初めての経験でした。それでも、日本代表は憧れでしたし、嬉しかったです。投げる機会は少なかったですが、日本代表には誰でもなれるわけではありません。選んでいただいた、勝たなくてはいけないという気持ちがありましたし、責任感も生まれました」

 大会の舞台となった台湾では食事が合わず、暑さにも苦労したという。さらに、初めて対戦する海外の選手のパワーにも圧倒されたが、ともに日本代表として戦った松井裕樹投手(東北楽天)、山岡泰輔投手(オリックス)、安楽智大投手(東北楽天)ら、チームメートから刺激を受けることも多かったと語る。

「海外の選手は身体も違いましたし、パワーもある。同世代とは思えなくて、ちょっと引いてしまい、(気持ちで)負けてしまった部分もあったと思います。決勝で対戦した米国の選手は、優勝した時の喜び方もすごくてビックリしました。優勝を目指してやっていたので、準優勝という結果には悔しい思いはありました。それでも、チームメートから学ぶことも多くていい経験になりました。特に松井さんは意識が高く、当時から食事にも気を使っていた。そういう姿勢は勉強になりました」

3年生では甲子園出場を逃すも侍ジャパン入り「自分の力が出せるように集中しました」

 3年時は、群馬県大会で敗退して甲子園出場は叶わなかったが、「第10回 BFA 18Uアジア選手権」の日本代表に選出された。「本当に自分でいいのか」という気持ちがあったというが、プレッシャーから力を出せずに敗退した県大会の経験を生かして、自分のプレーをすることに集中し、気を引き締めて臨んだという。

「2年秋の大会は台湾から帰ってきた翌日の試合で、投げる予定はなかったんですが急遽投げることになり負けてしまい、春も怪我で投げることができずに、ぶっつけ本番の夏でした。ただでさえ『勝たなきゃいけない』というプレッシャーがあるのに、その前の年に甲子園で優勝したことでより一層その気持ちが強くなり、いいピッチングができませんでした。代表では気負わないように、自分の力が出せるように集中しました」

 開催国のタイ・バンコクは前年の台湾以上に暑さが厳しく、環境に対応するのに苦労したというが、1次ラウンド初戦のフィリピン戦、準決勝のチャイニーズ・タイペイ戦に先発。力投を見せ、チームの準優勝に貢献した。

 慣れない海外で、日本代表としての責任感を持ってプレーした経験が、遠征が多いプロの世界でも生きていると明かす。

「いつもと環境が違う中で、調整をして気持ちを作らなければいけない。海外に行かせてもらってそれがすごく大変なことだと感じました。プロも遠征が多いですが、どこに行ってもできるストレッチや深呼吸などを行って、気持ちの準備をするようにしています」

 プロ入り後は怪我に苦しんだが、5年目の今シーズンはキャリアハイの10勝を挙げた高橋投手。再び日の丸のユニホームに袖を通したいという思いはあるというが、「まずは目の前のことを頑張るだけ」とチームでの活躍を誓う。

「日本代表は憧れではありますが、チームでしっかりやって評価されることが一番だと思います。その結果、また代表に選んでいただけたら嬉しいです」

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