「次はU-15代表を目指して」―W杯で準優勝に輝いた侍ジャパンU-12代表、悔しさを財産に次のステージへ

2019.8.13

7月26日から8月4日に台湾・台南市で行われた「第5回 WBSC U-12 ワールドカップ」。侍ジャパンU-12代表はオープニングラウンドから怒涛の7連勝で決勝進出を果たした。初の世界一をかけて、地元チャイニーズ・タイペイと対戦したが、0-4で惜しくも敗戦。それでも過去最高の準優勝という成績を残し、若き侍戦士たちは確かな“財産”を手にした。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

開幕から怒涛の7連勝、圧倒的な強さでの決勝進出に誰もが手応えを感じていたが…

 7月26日から8月4日に台湾・台南市で行われた「第5回 WBSC U-12 ワールドカップ」。侍ジャパンU-12代表はオープニングラウンドから怒涛の7連勝で決勝進出を果たした。初の世界一をかけて、地元チャイニーズ・タイペイと対戦したが、0-4で惜しくも敗戦。それでも過去最高の準優勝という成績を残し、若き侍戦士たちは確かな“財産”を手にした。

 決勝まではまさに快進撃だった。オープニングラウンド初戦でチェコに21-0で大勝すると、強豪キューバを6-0と完封。地元チャイニーズ・タイペイ戦では高橋昇聖選手(北上ゴブリンズ)の2打席連続2ランが飛び出し、7-4で勝利した。さらに、フィジーに30-0、南アフリカにも15-0と大勝。唯一の5戦全勝でオープニングラウンドを突破した。

 スーパーラウンド初戦のベネズエラ戦では、初めて先制を許すも4-1で逆転勝利。韓国戦は3点ビハインドの劣勢で雨天サスペンデッドとなると、翌日には土壇場でタイブレークの延長戦に持ち込み、8-7の劇的サヨナラ勝利で7連勝を収めた。

 すでに決勝進出が決定していた中で行われたスーパーラウンド最終戦ではメキシコに3-8で敗れたが、圧倒的な強さでの決勝進出にチームの誰もが手応えを感じていた。世界一に手が届く――。選手たちも自信に満ち溢れていた。

あと一歩で届かなかった世界一に仁志監督「やっぱり指導力が足りないんだと思う」

 そして迎えた決勝。3回に2死満塁から連打で2点を先制される苦しい展開となる。4回に犠飛、6回にソロ本塁打で追加点を献上すると、打線はチャイニーズ・タイペイ先発投手の120キロを超える直球と鋭いカーブに苦戦し、最後まで得点を奪えなかった。

「勝つチームがあれば負けるチームもあるし、勝ったものが強いとは思わない。強いものが絶対に勝つと思う。やっぱりチャイニーズ・タイペイのほうが強かった。ただそれだけ。もちろんみんな頑張ったし、2位になったということは下を向いて帰る結果じゃないと思う」

 3大会連続で侍ジャパンU-12代表を指揮した仁志敏久監督は試合後、涙を流す選手たちにこう語りかけた。仁志監督が最初に指揮した2015年の第3回大会は6位、2017年の第4回大会は4位と徐々に順位を上げ、今大会は初の準優勝。過去最高の成績を残した選手たちを褒めたが、やはり悔しさも残った。

「やっぱり指導力が足りないんだと思う。伝えても伝わっていなければ、伝わったことにならない。ずっと言ってきたけれど、伝わりきらなかったのだとしたら、俺がもっとみんなに響くような伝え方だったり、もっとみんなにわかってもらえるように伝えないといけなかった」

教育の面を大切にする指揮官「この大会で感じたことを生活にも活かしてほしい」

 悔しさを隠し切れない指揮官だが、同時にU-12世代の指導は結果だけでなく、教育の面が大きいと捉えている。大会中、毎日行われたミーティングでは野球の技術だけではなく、考えることの大切さ、メンタルの持ち方について伝えてきた。「親から離れて子供たちだけで生活すること。チームとして集団で行動すること、そのルールを守ること。そういうことをまずは覚えてもらいたい」。オープニングラウンド初戦の試合後に台湾メディアのインタビューにこう語っていた。

 決勝の試合後には「みんなは帰ってからジャパンの選手だっていう看板を背負って野球をしないといけない」と、日本代表選手としての自覚を持つことも伝えた。そして、選手たちの今後の人生の活躍を願った。

「自分の行く道で、いつも目標を見失わないように。周りにちやほやされても、何を言われても、絶対に目標から目を離さない。そうやって成長していってほしい。プロ野球選手になることも、もちろん素晴らしいけど、立派な社会人になることも俺としては望みの一つだね。だからこれからこの大会で感じたことを生活にも活かしてほしい」

 ベストナインに選出された高畑知季選手(兵庫波賀リトルリーグ)は決勝戦の直後に「次は(侍ジャパン)U-15代表を目指して頑張っていきたいです」と話し、すでに次のステージを見据えていた。初の世界一にはあと一歩、届かなかった18人の選手たち。今後の活躍に期待したい。

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事