侍ジャパンU-12代表、世界一ならずも初の準優勝 仁志監督は選手に感謝「下を向いて帰る結果じゃない」

2019.8.5

台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」は4日、決勝戦が行われ、侍ジャパンU-12代表は地元チャイニーズ・タイペイに0-4で敗れた。初の世界一は逃したが、5大会目にして初めての決勝に進出。過去最高の準優勝で大会を終えた。

写真提供=Getty Images

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過去最高の成績の準優勝も…決勝で先発の大役任された青木は「悔しいです」

 台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」は4日、決勝戦が行われ、侍ジャパンU-12代表は地元チャイニーズ・タイペイに0-4で敗れた。初の世界一は逃したが、5大会目にして初めての決勝に進出。過去最高の準優勝で大会を終えた。

 初めて辿り着いた頂上決戦。日本の先発・青木朔真選手(筑後ボーイズ)は初回を3者凡退に抑えると、2回は四球を1つ出したものの無失点。2回まで互いにノーヒットと決勝戦らしい引き締まったスタートとなった。

 しかし3回、青木選手は中前打、四球、失策で2死満塁のピンチを招き、中前適時打を浴びて先制を奪われる。2番手の川越昂太郎選手(東京城南ボーイズ)に交代したが、再びセンター前に適時打を打たれ、2点目を失った。

 大会の序盤は制球に苦しんだ先発の青木選手。仁志敏久監督は「信頼を勝ち取って大事なゲームの先発を任せられるようなピッチャーになってくれた。素晴らしかったと思います」と試合を作ったことを評価したが、青木選手は「今日もボールがちょっと多かったんで悔しいです」と唇を噛んだ。

 打線は相手投手に苦しんだ。3回には坂本慎太郎選手(松戸柏リトルリーグ)、高畑知季選手(兵庫波賀リトルリーグ)の連打から2死二、三塁のチャンスを作ったが、片岡大瑠選手(大阪狭山ボーイズ)が空振り三振。4回に相手の犠飛で1点を失うと、5回にも1死一、三塁のチャンスを作ったが、高畑選手、赤澤琉偉選手(八尾中央ボーイズ)が2者連続空振り三振に倒れた。

打線は完封負け、それでも選手に感謝する仁志監督「メダルはみんながくれたもの」

 6回にも相手のソロ本塁打で1点を追加された侍ジャパンは0-4で完封負け。初の世界一にあと一歩というところでの悔しい敗戦となった。仁志監督は「先制されたらきついかなとは思っていた」と試合を振り返る。

「僅差だったら子供たちは色々と作戦的なことはできるという思いはあったんですけど、いきなり2点を取られた。取られ方が苦しい取られ方だったので、チームにはダメージになった。あの場面を切り抜けられればこっちにもチャンスは来るなと思っていたのですが、そう甘くはなかったですね」

 3大会連続で指揮を執る指揮官は悔しさを押し殺すように語った。さらに江尻慎太郎投手コーチも「まだ整理がついてないですよね。それぞれカラーがあって、それぞれが力を発揮してくれて本当に良い投手陣だったなとは思いますけど、力を出し切らせてあげることができなかったな、というのが今の率直な感想ですね」と選手たちをかばった。

 試合後に恒例となっていたミーティング。大会中は厳しい言葉が多かった仁志監督だったが、この日は違った。「2位になったことは下を向いて帰る結果じゃない。このメダルはみんなが俺たちにくれたものだから、宝物にしてずっと持っておく。このチームはみんなが息子だと思ってる。これからの人生を頑張って。本当にありがとう」。最後は選手たちへの感謝の言葉が溢れた。

高畑はすでに次のステップを見据える「U-15代表を目指して頑張っていきたい」

 表彰式では悔しさのあまり涙を流す選手もいた。それでも、初の決勝進出を果たした侍戦士たちは持ち味を存分に発揮。桑元信祐選手(ガッツ鹿児島)が首位打者に輝き、赤澤選手が最優秀守備選手、青木選手、桑元選手、高畑選手がベストナインに選ばれた。

 特に、142センチとチームで最も小柄な高畑選手の活躍は想像以上だったと仁志監督は話す。「ああいう小さい選手はどうしても大きい選手の強いボールを打ち返せない、動きがもたついちゃったりすることがほとんど。今までもそういう子を見てきた。ああいう体は小さいけど、できることはすごく幅広い子は初めて見ましたね。打っても一番、対応能力は高かったと思います。タイトルをもらって認めてもらえて本当に良かったと思います」と父親のように喜んだ。

 高畑選手は「良いところもあったんですけど、少し悪いところも出てしまった。その部分ではチームに迷惑もかけてしまった。自分の良いところはしっかり出せて、監督にも褒めていただいたので、次はU-15代表を目指して頑張っていきたいです」と話し、今大会の悔しさをバネにすでに次のステップを見据えていた。

 まさに快進撃だった。オープニングラウンドを5戦全勝で勝ち上がると、スーパーラウンド第1戦で強豪ベネズエラに逆転勝ち。そして、第2戦の韓国戦は雨天サスペンデッドで2日間に渡る激戦となり、タイブレークの延長戦でサヨナラ勝ちをもぎ取った侍ジャパンU-12代表。怒涛の7連勝で決勝進出を決めていた。過去最高の成績を残した今大会を指揮官はこう総括した。

「オープニングラウンドを全勝で行けたのは子供たちの頑張りだったと思います。スーパーラウンドの韓国戦はこちらが思っていた以上の頑張りを見せてくれた。やっぱり子供たちだし、予想以上のこともするし、もちろんミスもするし、毎回それは変わらないことですよね。この年代の子供たちの指導は改めて簡単ではないなと思います」

 頂点には立てなかったが、選手たちの「頑張り」で侍ジャパンU-12代表は今大会も前に進んだ。試合後のミーティングで、3度目のW杯を戦い終えた仁志監督は選手たちに「これまで(侍ジャパンU-12代表の)先輩たちが色んな結果を残してくれて、そのおかげで俺が学べたこともたくさんある」とも話した。無駄な敗戦はない。てっぺんは見えている。上がる階段はあと1つ。初の世界一の夢は次の世代に託される。

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