クロマティ氏が明かす、米国から見た侍ジャパン「評価は高いものがあります」

2019.6.17

今年11月に「WBSCプレミア12」に挑む野球日本代表「侍ジャパン」。2020年にも大きな国際大会が控える。2017年、稲葉篤紀監督を迎えて新体制をスタートさせた「侍ジャパン」について、かつて読売の“史上最強助っ人”と呼ばれたウォーレン・クロマティ氏はどんな印象を抱いているのだろうか――。

写真提供=Full-Count

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かつて読売でプレーしたクロマティ氏が侍ジャパンについて語る

 今年11月に「WBSCプレミア12」に挑む野球日本代表「侍ジャパン」。2020年にも大きな国際大会が控える。2017年、稲葉篤紀監督を迎えて新体制をスタートさせた「侍ジャパン」について、かつて読売の“史上最強助っ人”と呼ばれたウォーレン・クロマティ氏はどんな印象を抱いているのだろうか――。

「侍ジャパンの米国での評価は高いものがあります。日本は常に国際大会で違いを見せてきました。それはスモールベースボール。日本の野球には技術的にしっかりとした基盤がある。しっかりとしたディフェンス、そして、緻密な野球が伝統にありながら、個々のパワー、スピードという部分でもレベルアップしています。それに敏捷性というものを加えたものが、中南米の代表チームやアメリカに対する武器として、国際的にアピールできている。個人的には好きな選手もいます。ピッチャーでは則本さん(東北楽天・則本昂大投手)、それから菊池さん(広島東洋・菊池涼介内野手)の守備が気に入っています。2人ともメジャースタイルですね」

 メジャーリーグのモントリオール・エクスポズ(現在のワシントン・ナショナルズ)から読売に加入したクロマティ氏は、1984年から90年まで7シーズンに渡り日本で活躍した。1989年にはシーズンMVPに輝き、通算打率も.321をマークするなど輝かしい成績を残しただけでなく、ヒットやホームランを放った後の代名詞の「バンザイパフォーマンス」も有名だった。

 現在は米国のフロリダ州や日本で野球教室などを行うかたわら、プロ野球や高校野球の試合を定期的に観戦するなど、日本野球界への目配りを忘れていない。今年11月に「WBSCプレミア12」を控える侍ジャパンの大舞台での戦いぶりを心待ちにしていた。

「侍ジャパンの評価は国際的にも高まり続けています。今(評価が高い国)はドミニカ共和国、プエルトリコで中南米が相当な強さを誇っています。ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)でも強さを見せていますが、日本もエリート国の中に当然入っています。個人的には2020年に日本が優勝してくれなければ、とても落胆します。金メダルに期待しています」

 クロマティ氏は、自身が現役時代に沸かせた東京を舞台に行われる国際大会「WBSCプレミア12」に向けて目を輝かせていた。

国際大会で日本のライバルとなるのは中南米「ドミニカ共和国は素晴らしい」

 2017年3月のWBCで、日本代表は準決勝の米国戦で敗退。米国が初優勝を果たした。ただ、侍ジャパンのライバルはドミニカ共和国などの中南米の国になるのではないかとクロマティ氏は予想する。

「(WBSCプレミア12も2020年も)米国代表はクリス・セール投手(ボストン・レッドソックス)のような偉大な投手や、マニー・マチャド選手(サンディエゴ・パドレス)、ブライス・ハーパー選手(フィラデルフィア・フィリーズ)のようなスター選手が全員参加するわけではない。優勝への情熱、本気度という部分では侍ジャパンや中南米の代表チームの方がアメリカよりも上になる。日本のライバルは中南米。特にドミニカ共和国になるのでは。

 今はドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラら中南米の代表チームが相当な強さを誇っています。近年のWBCでも強さを見せています。特にドミニカ共和国の近年の戦力の充実ぶりと強さには素晴らしいものがあります。彼らがなぜここまで強くなったのか、様々な理由があります。メジャーリーグの各球団が現地で育成用の最新施設を建設し、年間を通じて若年層を強化できるシステムができ上がったことが大きい。そして、ドミニカ共和国の若くて有望な選手にとってはメジャーで活躍するチャンスになるので、アピールの舞台として必死に頑張る。その上で、メジャーで活躍するトップ中のトップの選手が国の誇りを胸にチームに参戦する。エリートが全身全霊をかけて戦う。だからこそ強いのです」

 メジャーリーグに次々と逸材を送り込む中南米の代表チームの強化は目覚しいものがあるが、侍ジャパンの米国内での評価も引けを取らないという。

「個人的には、日本にはいつでも勝ってもらいたい。特に東京では。世界中が見ている。日本代表には圧倒的な強さというものが常に期待されています。アメリカでもみんな強さを知っている。日本が勝たなければ、アメリカ人にとっても大きな衝撃でもあり、サプライズと言えるでしょう。野球は日本人のDNAに存在するものです。それだけ人々と結びついている。日本球界の最高の選手のプレーを見ることができるというのは、アメリカの野球ファンとしてもエキサイティングなことです。侍ジャパンの躍進は日本のスポーツ全体を牽引し、競技レベルを高めることにも繋がると思っています。日本は本当に輝いてくれると信じています。私の愛する日本にはいつだって、国際舞台で圧倒的な野球を見せてもらいたいと願っています」

 日本球界に温かい視線を注ぎ続ける65歳のクロマティ氏。侍ジャパンの国際舞台での活躍を心から願っていた。

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