「日本通運野球部は原点」―西武・辻監督が変わらず抱く、古巣への感謝の思い

2019.5.29

今年も社会人野球の長い夏が始まった。7月に行われる都市対抗野球大会の出場チームを決める予選が各地で開催されている。都市対抗野球は、ただの「全国大会」ではない。企業を代表し、その都市を代表してグラウンドに立ち、選手たちは期待を一身に背負って最高のパフォーマンスを発揮する。だからこそ、都市対抗野球はアマチュア最高峰の舞台であり続ける。

写真提供=Full-Count

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昨年は就任2年目でパ・リーグ優勝、今年1月には日本通運本社を表敬訪問

 今年も社会人野球の長い夏が始まった。7月に行われる都市対抗野球大会の出場チームを決める予選が各地で開催されている。都市対抗野球は、ただの「全国大会」ではない。企業を代表し、その都市を代表してグラウンドに立ち、選手たちは期待を一身に背負って最高のパフォーマンスを発揮する。だからこそ、都市対抗野球はアマチュア最高峰の舞台であり続ける。

 そんなプレッシャーの中で白球を追い続けた選手の一人が、現在プロ野球・埼玉西武の指揮を執る辻発彦監督だ。辻監督は佐賀東高校から日本通運に入社。7年間の在籍中には都市対抗野球への出場経験もあり、その堅実な守りと勝負強いバッティングでチームを牽引した。1983年に西武ライオンズに入団すると、プロの世界でもその持ち味を存分に発揮し、二塁手として歴代最多の8度ゴールデングラブ賞に輝くなど名手として名を馳せた。

 2017年に埼玉西武の監督に就任し、3年目のシーズンを迎える辻監督。就任初年度にいきなりAクラス入りを果たすと、2018年にはチームを10年ぶりとなるパ・リーグ優勝に導いた。しかし、クライマックスシリーズのファイナルステージでは、ペナントレース2位の福岡ソフトバンクの前に2勝4敗(アドバンテージ1勝を含む)で敗退。今年1月に日本通運本社に優勝報告を兼ねて表敬訪問を行った辻監督は、渡邉健二代表取締役会長、齋藤充代表取締役社長から「今度は日本一を」と激励を受けた。

 辻監督にとって「日本通運野球部は原点」だと言う。

「下手だった私を、テスト生で日通野球部に拾っていただいて……というところから始まりました。人生は不思議です。これがなかったら、今の私はないわけですから」

都市対抗野球の時期は常に古巣の戦いをチェック「気になるし、応援していますよ」

 都市対抗野球大会では43回の出場を誇り、名門として名高い日本通運野球部。今シーズンは、室内練習場と合宿所も併設された『NITTSU浦和ボールパーク』も完成したばかりだ。くしくも辻監督が指揮を執る埼玉西武も今シーズンは本格的に室内練習場などが新設される予定で、辻監督は「ちょうどできたみたいですね。同時ですね」と喜んだ。グラウンドの大規模な改修は会社の大きな期待の表れであることが身に染みているからこそ、より一層気合いが入るのは社会人野球でもプロ野球でも同じなのかもしれない。

 日本通運野球部は昨年の第89回都市対抗野球大会では2回戦で敗れ、日本一を逃した。悲願達成に向けて、6月4日から始まる第90回大会の南関東予選に臨むことになるが、本選でも上位を狙える戦力は十分に整っている。辻監督も毎年、都市対抗野球の時期になると古巣の戦いをチェックしているといい、「気になるし、応援していますよ」と目を細めた。

 辻監督による日本通運本社の表敬訪問では西武と日本通運野球部の「ダブル優勝」の話も飛び出した。「ダブル優勝」実現のためにも、先日行われた「第72回JABAベーブルース杯争奪全国社会人野球大会」で優勝した勢いそのままに本選出場を一気に決めたい日本通運野球部。日本一へ突き進む古巣の活躍を「応援している」という辻監督も常に気にかけているようだ。

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