国際大会で鍵を握る!? 名左腕・川口和久氏が侍ジャパンの“新戦力”として期待する若手左投手は…

2019.4.15

今年11月に「WBSCプレミア12」に挑む野球日本代表「侍ジャパン」。2020年にも重要な戦いが待っているが、世界一を目指す上で欠かすことができないのは、左投手の存在だ。ペナントレース同様、国際大会でもいい左腕がいるかどうかで戦い方は変わってくる。

写真提供=Full-Count

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川口氏が考える良い左投手の条件は…「ボールを見せないということ」

 今年11月に「WBSCプレミア12」に挑む野球日本代表「侍ジャパン」。2020年にも重要な戦いが待っているが、世界一を目指す上で欠かすことができないのは、左投手の存在だ。ペナントレース同様、国際大会でもいい左腕がいるかどうかで戦い方は変わってくる。

 1勝1敗という結果だった3月9、10日の「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsメキシコ」は、若手中心のメンバー構成で臨んだが、その中で左腕は松永昂大投手(千葉ロッテ)、今永昇太投手(横浜DeNA)、田口麗斗投手(読売)と3人いた。また、昨年11月の「2018日米野球」には、松井裕樹投手(東北楽天)、浜口遥大投手(横浜DeNA)、成田翔投手(千葉ロッテ)、笠原祥太郎投手(中日)、高梨雄平投手(東北楽天)と5人が出場している。

 では、侍ジャパンの“新戦力”として期待できる左腕は現在の日本にいるのか。広島東洋と読売で通算435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38の成績を残し、現役引退後は巨人の1軍投手総合コーチを4年間務めた川口和久氏は1つの“基準”を設けた上で、可能性を秘める左腕の名前を複数挙げた。

 実は、川口氏がNPBで最も高く評価している左腕は、広島東洋のヘロニモ・フランスア投手だ。日本人ではなく、カープアカデミー育ちのドミニカ共和国人。ただ、その投球に国際大会で活躍するための“ヒント”が隠されているという。

「(打者が)フランスア投手をなぜ打てないかと言うと、肩の可動域が広くて、体が出ていってもまだ手が後ろにあるからです。そこからコンパクトに手が出てくるから打てない。これは世界的にもすごく有利です」

 今季からシアトル・マリナーズに加入した菊池雄星投手に対して、メジャーリーグの打者たちがよく口にするのが「ボールを隠すのがうまい」というコメントだが、川口氏は「それと同じです。ボールを見せないということです。(今の日本で)最も象徴的なのがフランスア投手です」と話す。具体的にはどういうことか。

侍ジャパン入りに期待がかかる広島の3年目左腕、巨人の新人投手も

「技術的に、ボールを見せない体の動かし方があるんです。それは肩の可動域が広いピッチャーほどできる。例えば、私はジャイアンツ(読売)で4年間コーチをやりましたが、マイルズ・マイコラス投手(現セントルイス・カージナルス)が加入したときに、すごく肩の可動域が広くて、体が前に行っても手が出てこないなと感じました。打者が最もタイミングを取りづらい。このピッチャーは必ず勝つな、と思っていました。マイコラス投手は去年メジャーリーグでもすごく勝ちましたが、あれは偶然ではなく、メカニズムが人とは違うからなんです。だから、マイコラス投手は右腕ではありますが、(左投手でも)メカニズムの違うピッチャーを探すのが一番大事なんです。フランスア投手のメカニック(技術)とマイコラス投手のタイミング、この両方をできるようなピッチャーがいれば……」

 では、具体的にはどの投手に注目しているのか。川口氏はまず昨年11月の「2018日米野球」にも出場した浜口について「独特のタイミングを持っている」と評価。同じ横浜DeNAでは「今永投手、今年は怪我で出遅れてしまいましたが、東克樹投手もいいですね」と明かす。

 さらに、広島東洋の床田寛樹投手の名前も挙がった。2017年に左肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた床田投手は、プロ入り3年目の24歳。今季は開幕ローテーション入りした。

「フランスア投手のようなメカニックを持った左ピッチャーはいないかなと思って見ていたら……カープの床田投手。すごく良くなりましたね」

 まだプロ野球での実績はほとんどないが、川口氏は高く評価している。そして、もう1人、期待する投手がいるという。ドラフト1位で読売に入団したルーキーの高橋優貴投手だ。プロデビューを飾ったばかりの左腕も今後の侍ジャパン入りを期待される一人だ。

「22歳なので、まだまだ伸びる余地があると思います。コントロールが良く、変化球の使い方はうまい。ストレートの球威を上げるようにしたら、侍ジャパンに入ってくるのではないでしょうか」

 NPB通算139勝の名左腕・川口氏が期待する投手たちが台頭してくれば、間違いなく侍ジャパンの戦力の底上げにつながる。11月の「WBSCプレミア12」では、あっと驚く新戦力が日の丸を背負っているかもしれない。

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