若き侍ジャパンが得たものは? 山崎武司氏がメキシコ戦を分析「意味のある2試合」

2019.3.15

野球日本代表「侍ジャパン」は9、10日と京セラドームで「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsメキシコ」に臨んだ。第1戦は2-4で逆転負けを喫したものの、第2戦は6-0で快勝。4番に座った吉田正尚外野手(オリックス)が先制の満塁ホームランを含む2安打5打点と大暴れすると、投手陣も完封リレーを見せて、メキシコにリベンジした。

写真提供=Getty Images

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メキシコ代表戦は1勝1敗、第2戦の快勝は「吉田正選手に尽きる」

 野球日本代表「侍ジャパン」は9、10日と京セラドームで「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 日本vsメキシコ」に臨んだ。第1戦は2-4で逆転負けを喫したものの、第2戦は6-0で快勝。4番に座った吉田正尚外野手(オリックス)が先制の満塁ホームランを含む2安打5打点と大暴れすると、投手陣も完封リレーを見せて、メキシコにリベンジした。

 稲葉篤紀監督が「まだ見ていない力のある選手を試す最後のチャンス」と位置づけ、メンバー28人中27人が平成生まれというフレッシュな顔ぶれで挑んだ2試合は1勝1敗という結果に。野球解説者の山崎武司氏は「いいところもあったけど、改善する点も見えた」と振り返る。2019年初陣で見えたものとは……。

 9日の第1戦で侍ジャパンは2点を先制しながら、6回以降に4点を奪われて逆転負け。投手陣は先発の今永昇太投手(横浜DeNA)、2番手の山岡泰輔投手(オリックス)がそれぞれ2回無失点と快投したものの後続が打たれ、打線が追加点を奪えなかったことも響いた。侍ジャパンにとっては、課題が浮き彫りとなった試合だった。

「(ペナントレース開幕前という)時期的なものもありますが、課題はバッティングでしたね。パワーでは日本は他国に劣るわけですが、やはり大きいのを打てるバッターが欲しいなと感じました。走ったり、ヒットを打ったりするのは、日本は得意としています。実際に“スモールベースボール”で2度、世界一になっています。そこに問題はありませんが、ランナーをためた時に長打が打てる打者がいると、また違ってきます。

 ピッチャー陣についても、やはりコースが高いところに(球が)行くと、外国人のバッターは打ちますよね。ただ、今永投手のようなチェンジアップが(低めに)決まっていたら、なかなか打つことできません」

 2019年は黒星スタートという形となったが、翌10日の第2戦は初回に吉田正外野手の満塁ホームランが飛び出すなど5点を先制すると、その後も危なげない試合運びで快勝。投手陣もしっかりと0点に抑えた。この試合については、山崎氏は「吉田正選手に尽きますね」と4番に座った若き大砲を絶賛した。

「吉田正選手がバチッとハマって、初回あのような形のホームランになりました。吉田正選手のレベルは相当高いですね。今年はキャンプから凄く仕上がりが良い。ボールの見逃し方、反応が全く違う。覚醒し始めた吉田正選手の凄さが見えました。パワーもありますね。犠飛も浅いフライかと思いましたが、しっかり距離を稼いでくれました」

11月には「WBSCプレミア12」、吉田正以外の選手は「ほぼ白紙だと思います」

 逆に、第1戦で4番に座りながら無安打に終わった岡本和真内野手(読売)については、まだまだこれからが勝負だという。

「外国人のピッチャーと対戦するのであれば、落ちる系のボールの見極めが凄く重要になってきます。打ちたい、打ちたい、という気持ちが強いとよくない。四球で5番バッターに任せる、という気持ちでもいいんです。4番ならば『俺が決めてやる』と思うかもしれませんが、そうなると打てるものも打てなくなってしまいます」

 所属する読売では昨季、不動の4番として結果を残した。侍ジャパンでも、4番としての経験を積み重ねていくことが必要だと見ている。

 また、第2戦で完封リレーを見せた投手陣については、山崎氏は「低めに投げていけば抑えられる。メキシコ戦に関しては、それが明確に出ていたと思います。逆に、高めにいけば150キロが出ても打ち返されてしまう。それを再確認できた。今回の1つの収穫になったのではないでしょうか」と分析。野手陣、投手陣ともに課題と収穫を手にした2試合となった。

 11月には世界一奪還を目指す「WBSCプレミア12」が控える。今回のメンバーの中で、いったい誰が稲葉監督の目に留まったのか。もちろん、この結果を受けて、期待の若手たちがペナントレースでどんな結果を残すかにも注目が集まる。いずれにしても、この経験は必ずプラスになると山崎氏は言う。

「今回、侍ジャパンに招集された若手が何人残れるか。吉田正選手は当確だと思いますが、他の選手はほぼ白紙だと思います。今回の経験から、若い選手がシーズン中に結果を出して、(今後も)召集してもらえるか。例えば、柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)、山田哲人選手(東京ヤクルト)、筒香嘉智選手(横浜DeNA)といった“主役”は出ていなかった。でも、今回出たメンバーが主役になってくれれば面白い。若い選手は、こういう経験をさせてもらえれば成長する。意味のある2試合でした。この中から、間違いなく日本の野球を背負っていく選手が出てくると思います。ただ、いいところもあったけど、改善する点も見えたのが、今回の2試合でした」

 トップチームの一員として日の丸を背負った選手たちが、何を感じたのか。そして、今後どのように成長していくのか。山崎氏も期待している。

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