11月の「WBSCプレミア12」に注目が集まる理由 世界一を目指す侍ジャパンには“試練”!?

2019.2.4

野球日本代表「侍ジャパン」にとって、2019年最大の目標となるのが、11月2日~17日に開催される「WBSCプレミア12」だ。2018年末時点のWBSC(世界野球ソフトボール連盟)野球ランキング上位12か国が世界一を争う同大会。12月17日に発表された同ランキングで1位に返り咲いた日本にとって、優勝は“至上命令”となる。

写真提供=Getty Images

写真提供=Getty Images

出場するのは2018年末時点のWBSC野球ランキング上位12か国

 野球日本代表「侍ジャパン」にとって、2019年最大の目標となるのが、11月2日~17日に開催される「WBSCプレミア12」だ。2018年末時点のWBSC(世界野球ソフトボール連盟)野球ランキング上位12か国が世界一を争う同大会。12月17日に発表された同ランキングで1位に返り咲いた日本にとって、優勝は“至上命令”となる。

 また、同大会は日本以外の国にとっては2020年につながる大会にもなる。開催国枠の日本は除外し、アジア/オセアニア地区と南北アメリカ大陸それぞれの最上位国が2020年の出場権を獲得できるため、各国は必死で戦ってくるはず。大きな注目が集まる一大イベントだ。

 同大会に出場するのは、日本、アメリカ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、メキシコ、オーストラリア、オランダ、ベネズエラ、カナダ、プエルトリコ、ドミニカ共和国。野球強豪国が集結する。オープニングラウンドは4か国が3グループに分かれ、11月2日~8日に台湾、韓国、メキシコで開催。スーパーラウンドは同11日~16日に東京ドーム、ZOZOマリンスタジアム、決勝は同17日に東京ドームで行われることが決まっている。

 開催国として、何としても最終決戦まで駒を進めたい侍ジャパンには、“リベンジ”もかかる。「プレミア12」が初めて開催された2015年、小久保裕紀監督に率いられたチームは、劇的な試合の連続で韓国、メキシコ、ドミニカ共和国、アメリカ、ベネズエラを撃破。全勝で1次ラウンドを突破した。さらに、決勝トーナメント1回戦でプエルトリコに快勝。台湾ラウンドを終え、東京ドームに戻った。

 しかし、準決勝でまさかの展開が待っていた。大谷翔平投手(現アナハイム・エンゼルス)が、開幕戦に続いてライバル韓国を相手に圧巻の投球。7回1安打無失点11奪三振1四球と完璧な内容で降板した。打線も平田良介外野手(中日)のタイムリー、坂本勇人内野手(読売)犠飛などで4回に3点を奪取。8回は2番手・則本昂大投手(東北楽天)が快投で3者凡退に抑え、あとは最終回を抑えるのみとなっていた。

 ところが、2イニング目に突入した則本が9回につかまってしまう。3連打を浴びて1点を返されると、さらに死球を与えて無死満塁に。ここで松井裕樹投手(東北楽天)がマウンドに上がったものの、押し出し四球で1点差。4番手の増井浩俊投手(現オリックス)を送り込んだが、当時、福岡ソフトバンクでプレーしていた李大浩内野手に逆転タイムリーを浴びてしまう。あっという間の逆転劇。その後、秋山翔吾外野手(埼玉西武)の美技などで追加点は許さなかったが、その裏の最後の攻撃で追いつくことはできずに敗れた。

2020年の出場権獲得は険しい道のりに、まず「プレミア12」で確保したい?

 東京ドームが騒然とし、そして、最後は静まり返った一戦。3位決定戦ではメキシコを破り、最後の試合は白星で終えた小久保監督だったが、大会終了後の記者会見で「世界一になれなかった悔しい思いでいっぱいです」「一つ言えるのは、人生で一番重い1敗を喫したということ」と振り返った。今年は、同じ悔しさを味わうわけにはいかない。世界一だけが目標となる。

 ただ、ライバルは多い。特に、この大会で2020年の出場権獲得を目指す国は目の前の1勝を必死に取りにくるはずだ。前述したとおり、「プレミア12」で出場権が割り当てられているのはアジア/オセアニア地区、南北アメリカ大陸それぞれの最上位国で、計2か国。アメリカ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、メキシコ、オーストラリア、ベネズエラ、カナダ、プエルトリコ、ドミニカ共和国の10か国、つまりオランダ以外の国はこの大会に懸けてくる。

 2020年に出場できるのは、開催国の日本を含めて全6か国。2019ヨーロッパ大陸大会の上位5か国とアフリカ大陸大会の優勝国がイタリアで激突する予選(今年9月18~22日)で出場1枠は決まるため、「プレミア12」を終えれば計4か国の出場が決定。残る枠は「2」となる。

「プレミア12」で出場権を獲得できなければ、南北アメリカ大陸の国はまず、来年3月のアメリカ予選(8か国が出場)で最上位(プレミア12での出場決定国は除く)に与えられる1枠を勝ち取る必要が出てくる。ここで取れなくても、最後の1枠を巡る最終予選が台北で開催予定。ただ、「イタリアで開催のアフリカ/ヨーロッパ予選の2位」「南北アメリカ大陸予選の2位3位」「2019年アジア予選の上位2か国(既に出場権を得ている国以外)」「2019オセアニア予選の優勝国」の6か国で争う予選で、最後の出場枠を確保するのは至難の業だ。

 それだけに、アジア/オセアニア地区、南北アメリカ大陸の国々は「プレミア12」で早々に2020年への切符を手にしておきたいところだろう。特に、韓国、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイと強豪が揃うアジア/オセアニア地区は、南北アメリカ大陸の国と違って「プレミア12」で低調に終われば最終予選までチャンスがない。闘志むき出しで大会に臨んでくるはずだ。日本には“試練”となる。

 侍ジャパンとしては、メキシコと対戦する3月の「ENEOS侍ジャパンシリーズ2019」でしっかりと準備を整えたいところ。まずは、稲葉篤紀監督がどんなメンバーを選んでくるか、大きな注目が集まる。

記事提供=Full-Count
写真提供=Getty Images

NEWS新着記事