“レジェンド”山本昌氏が語る侍ジャパンの魅力「ここから5年は本当に強い」

2016.7.4

昨季限りで現役を引退した元中日の“レジェンド”山本昌氏が「今の侍(ジャパン)は面白い」「これから5年は本当に強い」と断言。その根拠とは、何なのか。侍ジャパンについて、あますところなく語ってもらった。

写真提供=Full-Count

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NPB最年長勝利記録を誇る左腕が指名、侍投手陣の軸は「当然、菅野投手でしょう」

 野球日本代表「侍ジャパン」は、世界一奪還に向けて小久保裕紀監督のもとで強化を進めている。すでにチームの軸となっている選手に加え、今年のプロ野球では新たな戦力も台頭。この先、チームの活性化が進んでいくことは間違いない。そんな日本の実力について、昨季限りで現役を引退した元中日の“レジェンド”山本昌氏はどう見ているのか。

 山本氏は32年間、現役としてプレー。通算581試合に登板し、219勝165敗、防御率3.45の成績を残した。2014年9月5日の阪神戦では49歳25日で白星を挙げ、NPB最年長記録を更新。さらに、昨年10月7日の広島戦では、NPB史上初となる50歳(57日)での公式戦出場を果たすなど、日本球界に数々の歴史を刻んだ。

 圧倒的な実績を残るレジェンド左腕は、侍ジャパンで軸となるべき選手や、新戦力として期待される若手の名前を挙げた上で、「今の侍(ジャパン)は面白い」「これから5年は本当に強い」と断言。その根拠とは、何なのか。侍ジャパンについて、あますところなく語ってもらった。

――侍ジャパンで軸になってほしい投手はいますか?

「当然、菅野投手でしょうね。キャンプの時からずっと言ってますけど、ちょっと力は抜けてますから、彼が全日本のエースと言っても過言ではないと思います」

――昨年11月の「世界野球WBSCプレミア12」では、前田健太投手(現ドジャース)がエースだと大会前に小久保裕紀監督が明言しました。その前田がいなくなって、菅野智之投手(読売)がそこに収まると?

「日本にもいいピッチャーがたくさんいますので、投手力のレベルとしては世界に通用するだけのものは十二分にあると思ってます。今、日本で強力なピッチャーが何人か海外に行ってプレーしています。ダルビッシュ有投手(レンジャーズ)や田中将大投手(ヤンキース)、前田健太投手らがいますけど、そういう投手たちが(侍ジャパンに)入ってきても、今の菅野投手なら引けを取らないかなというくらいの充実度がありますよね。そして当然、非常に責任感が強くて、考え方も立派。日本を背負うエースとしてふさわしいのではないかと思いますけどね」

大谷はまだまだ成長の途中!? 「技術的には(完成度が)7~8割」

――「世界野球WBSCプレミア12」では大谷翔平投手(北海道日本ハム)も先発投手陣の軸でした。今年は開幕直後は勝ち星がつかない試合も続きましたが、どう見ていましたか?

「ピッチャーは勝ちがつかないと調子を崩すものですからね。調子の良い、悪いはありますけど、大谷投手のボールが悪いというのではなくて、勝てないとピッチャーというのは(状態が)落ちていきますので。大谷投手は潜在能力的なものは世界的に見てもトップクラスです。世界で3本の指に入ってもおかしくないくらいの素質は持っています。ただ、ピッチャーとしては、まだ技術的には(完成度が)7~8割かなと、僕は去年から一貫して言っています。伸びしろの大きさでは断トツですよね。その中でも去年、パ・リーグの投手3冠王になるわけだから。これから国を代表して経験値をどんどん積んでもらいたいと思います。これは藤浪晋太郎投手(阪神)も同じです。2人共、持っているものは相当なものがあるので。

 あとは新しく出てきた岩貞祐太投手(阪神)、千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)らがどう絡んでいくのかなと。国際試合では、(先発)ローテーションが何人必要かという話になりますけど、則本昂大投手(東北楽天)もいますし、多士済々と言いますか、菅野投手を中心にどんなメンバーでも組める。その中で、セカンドグループを大谷投手であったり、藤浪投手であったり、則本投手であったり、そういうローテーションの組み立てでいいのではないかと。投手陣に関しては、もちろんメジャー組がいればまた話は変わりますけど『海外勢抜きでも十二分に通用するだけのピッチャーはいますよ』と、私は思ってます」

――新しい戦力では、岩貞投手に加えて、昌さんと同じ左投手の埼玉西武の菊池雄星投手、現在は2軍調整中ですが、横浜DeNAのルーキーの今永翔太投手も好調です。

「確かに今年は菊池投手もいいですね。あとは、元々、力のある大野雄大投手(中日)もいますね。左の先発がどうしても必要かと言えば、意外とそうでもないのではないかとも言えますけど、日本のピッチャーはコントロールがいいし、左ピッチャーはスライダーを必ず持っている。海外の左打者が多い打線には、左が1~2人は入っていたほうがいいかもしれません。そういう意味では、今永投手であったり岩貞投手であったり、ああいう若い力も必要です。

 代表候補のメンバーも年々変わっていくので、NPBのチームと一緒で、軸が毎年何人かいて、そこに調子のいい選手をくっつけるということになると思います。今年は岩貞投手にしても今永投手にしてもいいピッチングしていますし、右投手で言えば元々力のある岸孝之投手(埼玉西武)あたりが怪我から戻ってくれば、と思います。あとは、リリーフならば今年は田島慎二投手(中日)もいい。田島投手はサイドスローですし、小久保監督も考えているところがあるのではないかと思います」

山本氏も脅威感じる打線、「本当に誇れるような戦いをここ5年くらい出来ると思う」

――「世界野球WBSCプレミア12」の準決勝・韓国戦では、試合展開の難しさもありましたが、そのリリーフ陣が崩れる形で負けました。開催時期の難しさというのもあったと思います。

「結局、大会をやる直前に調子が良いか悪いか、ということが大事かなと思いますね。あとは、野球選手はどうしても夏型、春型といますから。春に調子いい人、夏に調子いい人と絶対にいます。私は夏型でしたので、そういう要素もけっこう重要じゃないかなと感じます。そのあたりの見極めをできるほど、投手陣は豊富に揃っています。そこまで考えて、徹底的にベストなメンバーを選ぶ。そういうデータもしっかり取っておいたほうがいいのではないかと思いますね」

――プロ野球選手もファンのために緊張感をもってプレーしていると思いますが、日の丸を背負って戦う国際大会にはまた違う種類の緊張感があります。

「(世界野球WBSC)プレミア12では小久保監督は悔しかったと思いますけど、彼が一生懸命やっているのは知っていますので。あの試合は僕もがっかりしましたけど、監督もあれで1つ覚えたと思って。改めて、回跨ぎは難しいんだなと。0-3からでしたけど、一回打線に火がついてしまうとね。野球はそういうところが怖い。サッカーとかラグビーも素晴らしいスポーツだけど、野球は時間で制限されない。そこが野球の怖いところですよね。逃げきれないという」

――あそこでマウンドに上がっていくピッチャーの気持ちというのは?

「あの流れではキツイと思いますよ。結局、代表レベルになってしまえば、日本も韓国もそんなに差はない。日本は今、各国代表と比べても力が抜け出そうとしているところです。それでも、日本のリーグよりも韓国のリーグはレベルが低いと言われてますけど、トップの選手が1チームに何人いるかという話だと思いますから。大リーグは(1チームに)9人、日本には5人、韓国には3人という感じかもしれないけど、それを1つにしてしまえば、そう変わらないメンバーが出来上がる。ずっと勝っていくのは難しいですよね」

――それでも、「世界野球WBSCプレミア12」では若い選手が力を見せてくれました。

「侍に関して昨年から思っているのは『今の侍が面白いよ』ということです。ちょうど世代交代が進んで、脂が乗り始めた選手に変わり始めたところなので。これから5年くらいは本当に日本は強い。そう思ってます。プレミア12は準決勝で負けて悔しかったけど、試合内容を見れば、一番強さを見せつけたのは日本なので。正直、日本の戦いぶりに『敵わないわ』と、参加した12か国が思ったはずです。

 それも若い選手中心というか、ベテランが抜けて、筒香嘉智選手(横浜DeNA)であったり、秋山翔吾選手(埼玉西武)であったり、山田哲人選手(東京ヤクルト)であったり。柳田悠岐選手(ソフトバンク)は欠場しましたけど、ああいう選手がやり始めたら本当に楽しい。これだけの選手が日本にもいるんだと、本当に誇れるような戦いをここ5年くらい出来ると思うので、侍は楽しみですよ。菅野投手もまだ20代中盤(26歳)ですし、大谷投手も藤浪投手も20代前半(22歳)だし、松井裕樹投手(東北楽天)も20歳。20代中盤くらいまでの選手が非常に多いので、これからは一番楽しめる時期で、しかも強い。

 僕が見ても、ワクワクするような打線を作れます。僕はすでに引退していましたけど、(世界野球WBSC)プレミア12を見て、この打線は(対戦したら)無理だなと思いましたからね。あの大会では、サッカーの日本代表の試合に視聴率で勝ったという話もありました。私はサッカーも大好きですけど、野球がサッカーの国際試合よりも視聴率を取れるというのは、野球OBとしては嬉しいですよね。それだけ魅力的な選手が揃ったんだなと。ちょうど脂の乗り始める選手が、数年後にはさらに乗っているということになるので、すごいチームになりますよ」

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