MLB選抜マッティングリー監督が見た侍ジャパン アメリカに連れて帰りたいと語った選手とは

2018.12.3

11月9日から15日に開催された「2018日米野球」では、野球日本代表「侍ジャパン」がMLBオールスターチームに対戦成績5勝1敗で圧勝を収めた。初選出されたフレッシュな面々と、国際経験豊富な常連組とが融合したチーム編成で臨んだシリーズだったが、侍ジャパンは逆転ホームランあり、決勝スクイズあり、投手陣の好投あり、好守備あり。投打守いずれの面でも、引き出しの多さが光った。

写真提供=Getty Images

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日米野球を戦い終え「日本の選手は見ていてとても楽しかった」

 11月9日から15日に開催された「2018日米野球」では、野球日本代表「侍ジャパン」がMLBオールスターチームに対戦成績5勝1敗で圧勝を収めた。初選出されたフレッシュな面々と、国際経験豊富な常連組とが融合したチーム編成で臨んだシリーズだったが、侍ジャパンは逆転ホームランあり、決勝スクイズあり、投手陣の好投あり、好守備あり。投打守いずれの面でも、引き出しの多さが光った。

 2019年の第2回WBSCプレミア12、そして2020年での金メダルを目指す稲葉篤紀監督は、「チームが1つになって大きく前に進むことができました」と大きな手応えをつかむと同時に、「選手は個々にいろいろなことを感じたと思いますが、皆、必ずこの経験を生かして成長してくれると思っています」と侍戦士たちに期待を寄せた。

 それでは、2014年に続き、2大会連続で負け越しを喫したMLBオールスターチームは侍ジャパンをどのように見ていたのだろうか。今回指揮を執ったドン・マッティングリー監督(マイアミ・マーリンズ)は、全6戦を戦い終えた後に「日本の選手は見ていてとても楽しかった。日本にいる優れた選手たちを知ることができたのは楽しかったし、どう投げてくるのか、どう攻めてくるのか、非常に学ぶことが多かった」と笑顔で称えた。

 MLBオールスターチームは6試合のうち3試合で逆転負けを喫した。第1戦は柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)が劇的な逆転サヨナラ3ランを放ち、第4戦には9回に菊池涼介内野手(広島東洋)が決勝スクイズ。第5戦は7回に打者8人がつないで4点を挙げて同点に追いつくと、8回には甲斐拓也捕手(福岡ソフトバンク)が決勝二塁打を左中間に運んだ。

柳田と山崎を「アメリカに連れて帰りたい」

 マッティングリー監督は「我々は3試合、リードがありながら逆転を許してしまった」と黒星を悔やんだ。その敗因について「多くのチャンスはあったが、ここぞという時に1本が出なかった」と分析。同時に「日本には得点チャンスで1本が出ていた。この点がシリーズを通じて大きな違いだったと思う」と、侍ジャパンの勝負強さを称えている。

「監督やコーチは、どこかスカウトに似た部分がある」と話すマッティングリー監督は、反対側のベンチから侍ジャパンを“研究”。「あの選手はこういう形で起用できるのでは」「この選手はああいう場面で使いたい」など、選手個々の能力を見極め、評価していたという。その結果として、「アメリカに連れて帰りたい」とラブコールを送ったのが、柳田外野手と山崎康晃投手(横浜DeNA)の2人だった。

 第1戦で驚愕の特大サヨナラ弾、第2戦では2戦連続アーチを含む4安打4打点と大暴れした柳田外野手は、その秘めるパワーでMLB勢を驚かせた。だが、マッティングリー監督が評価したのは、パワーよりも「バットコントロール。そして、広角に打てるバッティング技術」だった。そして、山崎投手は第1戦、第4戦、第6戦で9回のマウンドに上がり、1イニングを無失点の快投。マッティングリー監督は「彼の落ちる球はとても良かった。クローザーとして非常にいい仕事をしていた」と評価した。

「野球を正しい形でプレーし、常に全力を尽くそうという姿勢を見せていた」

 現役時代はニューヨーク・ヤンキースで不動の一塁手として活躍。名門球団でキャプテンを務めたマッティングリー監督は、通算2153安打、222本塁打、1099打点という成績を誇り、MVPも獲得した人物だ。今は監督という立場でハイレベルな戦いの中に身を置く猛者は、侍ジャパンについて「彼らは野球というスポーツを正しい形でプレーしていたし、常に全力を尽くそうという姿勢を見せていた。打者はなかなか簡単にアウトを取らせてくれない。私にとって貴重な経験だった」と称えた。

 稲葉監督率いる侍ジャパンが最大の目標に掲げているのが、2020年での金メダル獲得だ。マッティングリー監督は「短期決戦では、何が起きても不思議はない」と前置きしながらも、「日本は地元でファンの声援にも後押しされ、打ち負かすには難しいチームになるだろう」と侍ジャパンの上位進出を予想した。

 MLBオールスターチームの指揮官から太鼓判を押された侍ジャパン。来年の第2回WBSCプレミア12、そして2020年での金メダルを目標に、さらなる成長と進化を続けていきたい。

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次回:12月10日20時頃公開予定

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