「個々の可能性を見いだせた」 元メジャーリーガー長谷川滋利氏が語る日米野球と侍ジャパンの未来

2018.11.20

野球日本代表「侍ジャパン」とMLBオールスターチームが対戦した「2018日米野球」は、侍ジャパンが5勝1敗で大きく勝ち越して幕を閉じた。アナハイム・エンゼルス、シアトル・マリナーズで活躍し、現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏が侍ジャパンの戦いぶりを振り返った。

写真提供=Full-Count

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「2018日米野球」で5勝1敗と大きく勝ち越した侍ジャパン

 野球日本代表「侍ジャパン」とMLBオールスターチームが対戦した「2018日米野球」は、侍ジャパンが5勝1敗で大きく勝ち越して幕を閉じた。

 第1戦でサヨナラ2ランを放った柳田悠岐外野手(福岡ソフトバンク)、代表初アーチを記録した22歳の岡本和真内野手(読売)ら若手、ベテランが一丸となり、MLB選抜に”快勝”。アナハイム・エンゼルス、シアトル・マリナーズで活躍し、現在はオリックスのシニアアドバイザーを務める長谷川滋利氏が侍ジャパンの戦いぶりを振り返った。

 MLBオールスターを“圧倒“した稲葉ジャパン。今回は若手主体のチーム編成となったが、投打でそのポテンシャルを発揮したといってもいいだろう。リードされる展開でも粘り強い打撃で最後まで諦めず試合をひっくり返す場面も多々あり、日本の底力を見せつけた。

「日本には2020年で金メダルを取るというモチベーションがある。その中で選手個々の可能性を見いだせたのは大きかったと思います。稲葉監督や首脳陣にとっても(球数など)制限がある中で試合をこなしていく経験ができたのもプラスになるでしょう」

 投手目線ではどうだったのか。上沢直之投手(北海道日本ハム)、浜口遥大投手(横浜DeNA)、大瀬良大地投手(広島東洋)ら若い世代の投手陣の活躍も目立った。

「今回のMLBオールスターは、投手に比べれば野手の方に期待の若手が多かった。(フアン)ソト(外野手、ワシントン・ナショナルズ)、(ロナルド)アクーニャJr.(外野手、アトランタ・ブレーブス)ら将来のスター候補たちもいました。調整不足だったとは思いますが、その打者を相手に結果を残したことは自信になったはず」

金メダル獲得へのプレッシャーに打ち勝つメンタル

 一方、メジャー側はマニー・マチャド内野手(ロサンゼルス・ドジャースをFA)、マイク・トラウト外野手(アナハイム・エンゼルス)、サイ・ヤング賞のジェイコブ・デグロム投手(ニューヨーク・メッツ)などトップ選手は参加していない。
 
「メジャー側はシーズンを終えてから期間も経っているし本来の実力も出しきっていない。どちらかといえば“二線級”の選手。これがシーズン中の真剣勝負でやることになればまた違ってくる。2020年では3Aの選手たちが来ると思いますが、その中でも凄い選手はゴロゴロいます。あとは日本が“プレッシャー”の中でどう戦えるかです」

 稲葉監督が目標に掲げる2020年での金メダル。トッププロが集結し、母国開催となる舞台では大きなプレッシャーの中で戦うことが予想され、国民から期待されるのは勿論、頂点の金メダル。独特の雰囲気の中で本来の力を発揮できるかがポイントになるという。

「マウンドも慣れ親しんだ球場ですし、日本にとってみれば環境面は整っている。メジャートップクラスの選手が参加しないとなれば『勝って当然』という雰囲気にもなってくるでしょう。金メダルを獲得するのに一番必要になってくるのは、そのプレッシャーに打ち勝つメンタル面になると思います」

 長谷川氏は、2020年に向けて侍ジャパンは着実に一歩を踏み出したと感じている。本番まで残り2年。世界を相手にどのような戦いを見せていくのか期待したい。

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次回:11月26日20時頃公開予定

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