世界から見た日本の野球 第4回WBC米国代表2選手が明かす「侍ジャパン」のイメージ

2018.6.11

野球日本代表「侍ジャパン」は世界の頂点に返り咲くことを目指し、2017年、稲葉篤紀監督を迎えて新体制をスタートさせた。稲葉監督は、就任時から「スピード&パワーを実現できるチーム作り」を目標に掲げている。これまで日本野球のお家芸と言えば、機動力を駆使したスモールベースボールだったが、実際に他国代表選手は侍ジャパンにどんな印象を抱いていたのだろうか。

写真提供=Getty Images

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日本戦にスタメン出場したホズマー「日本=好投手という印象は強い」

 野球日本代表「侍ジャパン」は世界の頂点に返り咲くことを目指し、2017年、稲葉篤紀監督を迎えて新体制をスタートさせた。昨年11月には「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」で初代王者に輝き、今年3月には「ENEOS侍ジャパンシリーズ2018 日本vsオーストラリア」に快勝。今年11月には「2018日米野球」が予定されており、着実に強化の道を歩んでいる。

 稲葉監督は、就任時から「スピード&パワーを実現できるチーム作り」を目標に掲げている。これまで日本野球のお家芸と言えば、機動力を駆使したスモールベースボールだったが、実際に他国代表選手は侍ジャパンにどんな印象を抱いていたのだろうか。

 2017年に開催された第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)では準決勝で侍ジャパンを破り、悲願の初優勝を飾ったアメリカ合衆国代表のメンバー、エリック・ホズマー内野手(サンディエゴ・パドレス)は「準決勝の日本戦は、とても重要な意味を持っていたと思います」と振り返る。

「日本はWBCで過去2度優勝経験を持つチーム。初優勝を狙うアメリカにとって、越えなければならない1つのヤマでした。そもそも、日本には数多くの素晴らしいピッチャーがいることは誰もが知っている事実。今のメジャーを見ても、田中将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)、ダルビッシュ有投手(シカゴ・カブス)、前田健太投手(ロサンゼルス・ドジャース)、そして大きな注目を浴びている大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)といった先発投手がいます。

 WBC準決勝で先発した菅野智之投手(読売)、千賀滉大投手(福岡ソフトバンク)も負けず劣らず素晴らしい球を投げていた。しかも、ロサンゼルスでは珍しい雨という悪いコンディションの中、なかなか打てるチャンスがなかったことを覚えています。日本=好投手という印象は強いと思います」

「想像以上にパワーも秘めていたように思います」

 この試合で侍ジャパンの「3番・右翼」としてスタメン出場したのは、2014年にカンザスシティ・ロイヤルズでチームメイトだった青木宣親外野手(東京ヤクルト)だった。「それぞれの国を代表する立場として、WBCでノリと対戦できたのは本当にいい経験だった」と笑顔を見せる。そして、アメリカ合衆国戦では登板機会はなかったものの、侍ジャパンのブルペンを支える重要なピースだった牧田和久投手は、今季からパドレスでチームメイトになった。

「マキと最初に交わした会話がWBCの話でした。初めて会うのに初めてではない。そんな不思議な縁を感じました」

 準決勝のアメリカ合衆国戦で9回のマウンドに上がり、先頭のノーラン・アレナド内野手(コロラド・ロッキーズ)を3球で空振り三振に仕留めた平野佳寿投手は、今季から戦いの地をメジャーに移し、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの一員としてワールドシリーズ優勝を目指す。2001年以来の世界一を目指すダイヤモンドバックスの主砲ポール・ゴールドシュミット内野手もまた、昨年のWBCにアメリカ合衆国代表として参加していた。

 準決勝はスタメンを外れたゴールドシュミットだが、日本戦に向けてビデオやスカウティングリポートを駆使し、入念な準備を重ねたという。

「日本は非常に細部にこだわる攻撃を仕掛けてくるイメージがありました。パワーではなくて、バントや盗塁、エンドランなど機動力を使った野球をするイメージです。実際に戦いぶりを目の当たりにし、思っていた印象は変わりませんでした。ただ、想像以上にパワーも秘めていたように思います。

 攻撃だけではなく、ピッチングも守備も隙がない印象を持ちました。投手は技巧派だけではなく、速球派も揃っていました。準決勝の日は悪天候で、難しい打球も多かった。失点につながるプレーもあったけれど、あれは誰にでも起こりうること。あの雨の準決勝は、両チームとも本当に素晴らしい戦いぶりだったと思います」

 ホズマー内野手もゴールドシュミット内野手も「再び国を代表してプレーするチャンスがあったら喜んで参加したい」と口を揃える。WBCを代表する国際大会が注目度を高め、回を追う毎に戦いが熾烈さを増す中、スピードとパワーの融合を目指す稲葉ジャパンが、どのように完成形に近づくのか。その成長ぶりに注目したい。


第4回WBCにアメリカ代表として出場したホズマー内野手(写真提供:Getty Images)

【了】

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次回:6月18日20時頃公開予定

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