「菅野と菊池の両輪で」―“レジェンド”山本昌氏が2018年の侍ジャパンで期待する選手たち

2018.1.8

野球日本代表「侍ジャパン」のトップチームは、昨年7月に稲葉篤紀氏を新監督に迎え、再スタートを切った。2017年は3月の「第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」でベスト4進出、11月の「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017(アジアCS)」で優勝。好成績を残したものの、世界の頂点には立てなかっただけに、稲葉新監督に求められるのは世界一奪還だ。

写真提供=Full-Count

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世界一奪還を目指す稲葉ジャパン、山本氏は左右のエースに期待

 野球日本代表「侍ジャパン」のトップチームは、昨年7月に稲葉篤紀氏を新監督に迎え、再スタートを切った。2017年は3月の「第4回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)」でベスト4進出、11月の「ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017(アジアCS)」で優勝。好成績を残したものの、世界の頂点には立てなかっただけに、稲葉新監督に求められるのは世界一奪還だ。

 原則24歳以下、入団3年目以内(オーバーエイジ枠3人を含む)という規定の中で行われたアジアCSでは、多くの若手選手が躍動し、猛アピールした。今年3月のオーストラリア代表と対戦する強化試合では、年齢制限無しでメンバーが選考される見込みのため、25歳以上の選手で誰が選ばれるのか、そして先のアジアCSで活躍した選手の中から誰がメンバー入りを勝ち取るのか、注目が集まる。

 50歳まで現役でプレーし、通算219勝165敗、防御率3.45の成績を残した“レジェンド”左腕・山本昌氏は、2017年のプロ野球で大活躍した2人の投手が、“2枚看板”としてこれから日本代表のピッチャー陣を引っ張っていくことに期待している。WBCでも日本のエースとして圧巻の投球を見せた右腕・菅野智之投手(読売)、そして最多勝(16勝)と最優秀防御率(1.97)の2冠に輝いた左腕・菊池雄星投手(埼玉西武)だ。山本氏は「菅野投手と菊池投手が代表では左右の両輪で、と期待しています」と話す。

 菅野投手については、もはや説明の必要はないだろう。山本氏は、以前からその投球を絶賛。WBC準決勝で米国相手に6回3安打1失点6奪三振1四球を投げて自責点「0」という結果を残したことについて「素晴らしいピッチングだと思いましたし、彼は世界のどこにいっても通用する」とあらためて称えていた。

 では、ここ数年、結果を残し続けている菊池投手についてはどう見ているのか。特に、昨年は打者を圧倒する投球を続け、パ・リーグのみならず、日本を代表する投手の一人となった。その要因とは…。

菊池は「国を代表するピッチャーになった」、東浜は「コツを掴んだ」

「元々、素晴らしいポテンシャルを持っていますけど、まず自信をつけたことでしょうね。あとはチェンジアップをうまく使えるようになって、緩急が少しついてきたこと。それから、真っ直ぐのスライダー回転が少し減りましたよね。元々、ボールを引っかけるピッチャーなんですけど、それが減りました。それは自分で調整したんでしょう。そういう意味で、菊池投手も菅野投手同様、国を代表するピッチャーに成長しましたから、当然、代表にも呼ばれるでしょう。これからが楽しみですよね」

 プロ入り当時から、その才能は高く評価されてきたが、ついに“開花”となった。

 その菊池投手と最多勝を分け合ったのが、東浜巨投手(福岡ソフトバンク)だ。東浜投手も即戦力投手として期待されながら、プロでなかなか結果を残せずにいた。ところが、昨年は日本一球団のエースとして、ローテーションを力強く牽引。16勝5敗、防御率2.64という好結果を残した。

「彼も元々、勝てるピッチャーではありました。ずいぶんと2軍の方で苦労はしましたけど、去年しっかり花開いた。優勝チームのピッチャーですから、いいピッチャーに間違いない。高校、大学と勝てるピッチングをしていましたから、プロでもコツを掴んだということじゃないかなと思います。ボール自体はそんなに変わってないと思うんですよ。ピッチャーというのは結局、どういう自信で投げ込むか、というのが大事なので、そのへんが出来るようになったのではないかなと」

 このように、山本氏は東浜投手についても高く評価する。当然、侍ジャパン入りを期待する投手の一人だ。

 そして、山本氏が「アマチュア時代から評価しているピッチャー」として名前を挙げたのが、横浜DeNAの濱口遥大投手。昨年、ドラフト1位ルーキーながら、先発ローテーションで結果を残した左腕はシーズン後半に入って一層輝いた。クライマックスシリーズや日本シリーズでも好投を見せるなど、横浜DeNA躍進の立役者の一人となった。

稲葉監督へのエール「しっかり引っ張って、結果を出してほしい」

「僕はアマチュア時代から非常に評価しているピッチャーでした。やはりボールに力がありますし、少し荒削りでフォアボールはありますけども、ボールを真上から放れます。身長以上に角度があるということと、落ちるボールがいい。フォークにしてもチェンジアップにしても。ああいうボールを持っているピッチャーは非常に強いですから、これは今永(昇太)投手とともに、横浜DeNAを今後背負っていくピッチャーになっていくのではないかと思います」

 他にも山本氏は、今永投手や田口麗斗投手(読売)といった、アジアCSで結果を残したピッチャーの代表入りを期待する。また、OBとして、又吉克樹投手、大野雄大投手、京田陽太内野手、そして2016年ドラフト1位の柳裕也投手といった中日勢についても期待を寄せた。

「又吉投手に関しては、前回(アジアCS)オーバーエイジで呼んでもらっていい経験をしたと思いますから、頑張ってもらいたい。大野投手については、昨年は代表に呼ばれるような成績ではないですから、もう1回頑張ってほしい。あとは京田選手ですね。24歳以下の代表は当然入るでしょうけども、(3月以降も)代表に呼ばれるようになれば、ドラゴンズも盛り上がるんじゃないかと思いますからね。あとは柳投手が1回、怪我なくシーズンを頑張ってほしいなと思って見ています。彼も非常に人間力のある選手なので、頑張ってほしいですね」

 そして、山本氏は最後に、45歳という若さで日本代表を率いる稲葉監督にエールを送った。

「すごいプレッシャーの中で(監督を)引き受けて、最初の大会(アジアCS)で結果を出しました。大変でしょうけど、この調子で頑張ってほしいなと思います。非常に引っ張る力のある方ですから、是非また日本代表をしっかり引っ張って、結果を出してほしいと思います。」

 日本のトップレベルの選手たちが集結する「侍ジャパン」。2018年も、その戦いから目が離せない。

【了】

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