侍ジャパン白星発進、岩村明憲氏が見た稲葉監督の色「選手を信じて送り出す」

2017.11.17

稲葉篤紀新監督を迎えた野球日本代表「侍ジャパン」は16日、「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」の初戦で韓国と対戦し、延長10回の末、8-7で逆転サヨナラ勝利を収めた。4時間29分に及ぶ激戦を戦い抜き、白星発進した新生「侍ジャパン」について、元侍戦士で現在はBCリーグ福島ホープスの監督を務める岩村明憲氏は「選手を信じる稲葉監督の色が見えた試合だった」と分析する。

写真提供=Getty Images

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延長10回に逆転サヨナラ勝利、新生「侍ジャパン」は劇的な白星で船出

 稲葉篤紀新監督を迎えた野球日本代表「侍ジャパン」は16日、「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」の初戦で韓国と対戦し、延長10回の末、8-7で逆転サヨナラ勝利を収めた。4時間29分に及ぶ激戦を戦い抜き、白星発進した新生「侍ジャパン」について、元侍戦士で現在はBCリーグ福島ホープスの監督を務める岩村明憲氏は「選手を信じる稲葉監督の色が見えた試合だった」と分析する。

 先制したのは、まず日本だった。3回2死から源田壮亮内野手(埼玉西武)が四球を選んで出塁。続く近藤健介捕手(北海道日本ハム)の放った二塁内野安打で一気に三塁を目指すと、相手二塁手の送球ミスを誘って、一気にホームへ滑り込んだ。

 だが、直後の4回に先発を任された藪田和樹投手(広島東洋)が先頭の4番キム・ハソンに左翼へ同点ソロを運ばれ、なおも連打で無死一、三塁としたところで、ハ・ジュソクにレフトへ勝ち越し犠飛を許した。ここでマウンドを継いだ2番手・近藤大亮投手(オリックス)も2四球などで2死満塁とすると、元中日のイ・ジョンボムの息子イ・ジョンフに左中間へタイムリーを運ばれ、2点を失った。

 6回に山川穂高内野手(埼玉西武)が稲葉ジャパン1号となる2ランで1点差に追い上げた日本は、救援陣が無失点でつないだ。9回裏、日本は2四球と安打で1死満塁とすると、打席に立った京田陽太内野手(中日)が押し出し四球を選び、土壇場で同点に追いついた。

 タイブレーク方式で迎えた延長10回は、オーバーエイジ枠で出場した又吉克樹投手(中日)が打ち込まれ、3点を勝ち越されるが、その裏にドラマが待っていた。1死一、二塁から、ここまで4打数無安打だった5番の上林誠知外野手(福岡ソフトバンク)が右中間へ値千金の3ラン。2死からライト前安打で出塁した西川龍馬内野手(広島東洋)が二盗でチャンスを広げたところで、最後は田村龍弘捕手(千葉ロッテ)が左中間を深く破るサヨナラ適時二塁打を放ち、勝負を決めた。

「ここからチームがどうやって成長していくのか、非常に楽しみですね」

 岩村氏は「何度離されても食らいつく。まるで今年のワールドシリーズのような試合展開でしたね」と切り出した。その中で、試合のポイントに挙げたのは、9回のマウンドを任された両軍投手の差だった。

「あそこは抑え投手の経験の差が出た場面でした。もちろん、韓国の投手も終盤での経験はあるでしょうが、山﨑(康晃)投手はDeNAで3年も守護神を務めている。堂々たる投球で3者凡退に斬ったことが、9回の同点、10回の逆転サヨナラにつながったと思います」

 そして、9回を3者凡退に仕留めた山﨑に加え、6回に2ランを放った山川、10回同点弾の上林、そして4打数3安打の活躍だった近藤健らが、期待通りの働きをできたのも、稲葉監督が選手の力を信じた起用をしたからだと分析する。

「投手交代のタイミングを見ても、稲葉監督が選手を信じて送り出している様子が伝わってきました。自分の色を出した采配を振るのではなく、選手を信じて思い切りプレーしてこい、と送り出した結果が、今日の試合でしょう。状況を見ながら、適材適所で選手を送り込んだ。監督の信頼は選手に伝わるものです。それを意気に感じた選手たちが、自分らしいプレーを見せてくれました。

 プレッシャーの掛かる国際大会で、個々の選手がどんな動きをするのか、監督が見極めたかった部分もあるかもしれませんが、結果的に選手は自分らしさを失わないプレーを見せてくれた。2019年のプレミア12、2020年の東京五輪、2021年の第5回WBCに向けて、ここからチームがどうやって成長していくのか、非常に楽しみですね。もちろん、まだまだ荒削りな部分は多い。でも、それ以上に期待を持たせてくれる初戦だったと思います」

 劇的な逆転サヨナラ勝利で初陣を飾った侍ジャパンは、勢いもそのままに18日に第2戦チャイニーズ・タイペイ戦に臨む。


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【了】

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