“新生”侍ジャパンの初戦は韓国戦、岩村明憲氏「個々の選手が“らしい”野球を」

2017.11.16

日本、韓国、チャイニーズ・タイペイの3チームが参戦する「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」が、11月16日にいよいよ開幕する。野球日本代表「侍ジャパン」は16日の初戦で、元中日の宣銅烈(ソン・ドンヨル)氏を初代専任監督とした韓国と対戦。7月に就任した稲葉篤紀監督の初陣ともなる韓国戦の見どころについて、第1回、第2回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)での世界一連覇に貢献し、現在はBCリーグ福島ホープスで監督を務める岩村明憲氏に語ってもらった。

写真提供=Getty Images

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24歳以下の若き才能が結集「日の丸の重みを感じられるのは非常に意味がある」

 日本、韓国、チャイニーズ・タイペイの3チームが参戦する「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」が、11月16日にいよいよ開幕する。野球日本代表「侍ジャパン」は16日の初戦で、元中日の宣銅烈(ソン・ドンヨル)氏を初代専任監督とした韓国と対戦。7月に就任した稲葉篤紀監督の初陣ともなる韓国戦の見どころについて、第1回、第2回ワールド・ベースボール・クラシック™(WBC)での世界一連覇に貢献し、現在はBCリーグ福島ホープスで監督を務める岩村明憲氏に語ってもらった。

 今回はトップチームながら、参加資格が24歳以下、または入団3年目以内(オーバーエイジ枠3人を含む)に限定された大会だ。岩村氏は、まずこの点に「とても楽しみ」と話す。

「今後の野球界のことを考えても、若い選手がトップチームの一員として代表ユニフォームを着て、日の丸の重みを感じられるのは、非常に意味のあることです。高校代表、大学代表として国際大会を戦った選手もいるでしょうが、やはりトップチームの重みは違う。いい意味でのプレッシャーを感じながら、いかに思い切り自分の持ち味を発揮するか。そこを楽しみにしています」

 韓国を率いる宣監督は、1996年から4シーズンにわたり中日でプレー。1997年にセーブ王を獲得するなどして、守護神として日本では通算98セーブを記録している。引退後は指導者として韓国の国内リーグで監督を歴任。その後、2015年の第1回「世界野球WBSCプレミア12」では代表投手コーチとして韓国の優勝に貢献し、今年の第4回WBCでも代表投手コーチを務めた。今年7月に2020年東京オリンピックまでの契約を結んだ宣監督について、岩村氏は「日本の野球を熟知している」と警戒する。

東京オリンピック、第5回WBCに向けての第一歩「相手チームの情報収集という点でも意義」

「アジアでは、どのチームも2019年のプレミア12、2020年のオリンピック、2021年のWBCでの優勝を狙うでしょう。その過程として、国際大会を毎年戦えることは、自チームの強化はもちろん、相手チームの情報収集という点でも意義があります。韓国代表を率いる宣監督は、日本野球を熟知する人物。その宣監督がどんな野球を仕掛けてくるのかを見るのも楽しみです。選手も、日本同様、数年後には代表チームの中心になる若手ですから、見る側もしっかり覚えておきたいですね」

 注目の試合は、日本は藪田和樹投手(広島東洋)、韓国は張現植(チャン・ヒョンシク)投手が先発マウンドに上がる。入団3年目で25歳の藪田は今季38試合に登板し、15勝3敗3ホールド、防御率2.58と躍進。チームのリーグ2連覇に大きく貢献した。188センチの長身から投げ下ろす最速158キロの速球を武器に、韓国打線に挑む。一方、韓国のNCダイノスに所属する張は、今季は31試合に投げ、9勝9敗、防御率5.29の成績。150キロに達する直球が持ち味の本格派右腕を、宣監督は日本戦の先発に指名した。

 韓国代表期待の右腕に対する侍ジャパン野手の中で、現役時代は二塁手、三塁手として鳴らした岩村氏が注目するのは「二遊間コンビですね」という。

「二遊間が楽しみですね。おそらく二塁は中日の京田(陽太)選手、ショートは(埼玉)西武の源田(壮亮)選手でいくでしょう。この新人2人がどんなコンビネーションを見せてくれるか。守備はもちろんですが、2人とも打撃面でも1、2番コンビとして期待できます。

 そして、4番を任される西武の山川(穂高)選手も楽しみですね。彼の魅了はパワフルなバッティング。国際大会で持ち味を生かした打撃ができれば大したものですよ。中軸では、(福岡)ソフトバンクの上林(誠知)選手もいる。彼は日本シリーズではベンチ入りしながら出番は少なかった。そういうソフトバンクという外野手の競争が激しいチームで鍛えられた一面を発揮してほしいです」

「よそいきの野球はやらなくていい。それは監督、ファンは求めていないでしょう」

 今大会が初陣となる稲葉監督は、東京ヤクルトで共にプレーした先輩だ。その人となりをよく知る岩村氏は「稲葉さんの経験を若い世代に伝える場にしてほしい」と願う。その上で「采配らしい采配は振らないのでは」と話した。

「2019年のプレミア12、2020年の東京オリンピック、そして第5回WBCで世界一になることが大きな目標。今回の大会はそこへ向けた第一歩ですから。もちろん1位を目指すことが大前提。でも、シーズンを終えて疲労が残る中で、それを乗り越えて国際大会を戦うことは、選手たちにとって間違いなく次につながる経験になります。

 稲葉監督は、個々の選手が“らしい”野球をすることを求めていると思います。よそいきの野球はやらなくていい。それは監督はもちろん、大会を見るファンの皆さんも求めていないでしょう。国際舞台で、そして注目が集まる初戦で、自分らしい野球をプレーすること。そこに期待したいですね」

 稲葉監督率いる新生侍ジャパンの初戦・韓国戦は、16日午後7時に戦いの火蓋が切って落とされる。

【了】

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